隣の席の姫野くん。
「…あれ?なんかあった?」
ドアが開いた途端に聞こえてきた一定な山下くんの声
「…え?え?あ、別になにも…?」
姫野が来た。
その事実を知らせてはいけないような、知らせたくないような。
そんな気持ちのせいで思わず疑問系になってしまった。
「…ふーん?なんか顔赤いけど?」
「……え?」
拗ねたような声に顔をあげる。
「…っ!」
「…あー、ごめん。忘れて」
そこにいたのは、真っ赤な顔を手の甲で隠している山下くん。
…ずるいよ…忘れられるわけない…
さっきの姫野の言葉を思い出す。
…山下くん。
その表情に、少しだけでも期待していい?