隣の席の姫野くん。
山下くんのパーカーの裾をぎゅっと握る。
ドキドキしすぎて、どこかに力を入れなきゃ冷静でいられない気がして…
「…ね、寝るか」
私に顔を見せないようにそっぽを向いた山下くんは、慌てたように布団を引っ張り出してきた。
「俺、こっちで寝るから」
そう言ってソファーを指差した山下くんの顔はいつもの真顔だった
「…あ、うん」
私は拍子抜けして、座っていたベットに寝そべった。
あ、いけない。
まだ山下くんが起きてるのに…
完全に力の抜けた体を無理矢理動かして起き上がる。
「は、は、はしっ…っ!」
その時聞こえた山下くんの声。
山下くんは目を見開いて、顔を真っ赤にして、あわあわと私を指差していた。
ちょっとだけ間抜けな顔。
そんな顔も私にだけ?
「…お、おおおおおれ!寝るから!!!!」
山下くんは普段からは考えられないくらいに噛んで、暴れるように布団へと潜ってしまった。