隣の席の姫野くん。
な、なんだ…
いろいろ聞きたいことはあるのに、もう布団に潜ってしまったから…
私はため息をつきかけて飲み込むと、いそいそとベットに入った。
そして、山下くんのあの真っ赤な顔を思い出して笑いをこらえる。
私だけが知ってる顔…
もっといろんな顔がみたい
そう思うとまた気持ちが声になりそうで、私はぎゅっと口を閉じた。
好きって…素直に言えたらいいのに
言えたら、楽なのに。
溜まりに溜まった 好き は、今にもはち切れそうなほどに大きくなって
いつ外に出てきてもおかしくない。
そうなる前に、自分の言葉で伝えなくちゃ…
「…おやすみなさい…」
私の小さな声が届いたのか届かなかったのか
それは分からないけど、わからなくてもいい気もした。
今、すぐ近くに山下くんがいる。
それだけで、いいじゃないか。
そう思ったらだんだんとまぶたが重くなっていき、私は眠りへと誘われていった。