隣の席の姫野くん。
ぼっと赤くなる顔。
山下くんは手の甲で口元を押さえていた。
え?ほんとに?ほんとのほんとのほんとに?
何度も思い描いた夢のような出来事に涙が溢れてきた
「…返事は?」
「…はっ、い…きゃっ!」
泣きながら返事をすると、一瞬ニヤリとした山下くんに手を引かれ抱き締められた
「…や、山下くん!?」
「…もう、橋田は俺のだからな。ホイホイ男についてくなよ?」
「つ、ついてかないし!!!」
山下くんが耳元でくすくす笑う
「…それに、橋田を泣き止ませるのも俺だけだから。」
「…山下くんのせいで泣いたらどうするの?」
私の言葉に山下くんの腕に力が入ったのが分かる。
「泣かせねえようにするけど…もし、そうなったら川瀬に頼りなさい。昂には絶対頼るな」
「ふふっ」
山下くんの言葉に思わず笑ってしまった
「なんだよ?」
「なんでもなーい」
私って愛されてたんだなって、そう思っただけだよ