隣の席の姫野くん。




あー。


俺って幸福者だな。


右手で頬杖をついて、川瀬を見ながら思う。



なんでこいつの髪ってこんなに柔らかそうなんだろう


まつげ長ぇし。


肌だって透き通ってる。



あー。


なんで隣にいるのに触れないんだろう。



本能に従えば、今すぐにその柔らかそうな髪を指ですいて、透き通る肌に触れて、長いまつげのまぶたを閉じる川瀬に……




俺がそんなことを考えているのを察したのか、川瀬はこっちを急に見た。



あー。


なんなんだ、この人が一人通れるくらいの距離は。


俺にはすっげぇ厚くて高い壁に感じる。



川瀬に見られて理性保てるわけねぇじゃん。




そう考えると壁あってよかったかも





















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