隣の席の姫野くん。
「おーい…?」
何度声をかけても俺に背を向けているこのみが心配だし不安になる
「…もう昂の方見れない。もう絶対顔赤いし…どうしてくれんのよ」
ボソボソと独り言のように聞こえてきた声
それに、少しだけ見える紅い頬
俺の中で何かが切れる音がした
「きゃっ」
強く、でもできるだけ優しくこのみの細い手首をつかむ
「こ、昂?」
驚いたように目を丸くして、不安そうに眉を下げた顔
お世辞にも可愛い顔とは言えないけど…なんだろう、可愛い。
「…やだったら殴って」
俺が耳元でそう言うと少し肩を跳ねさせたこのみ
怖がらないように、ゆっくりと顔を近づけていく。
ずっと、触れたかった
その柔らかい唇に触れたくて
このみの熱を感じたくて
仕方がなかったんだ
俺の顔が極限まで近付くと、ゆっくり目を閉じたこのみ。
あと、1ミリ。