隣の席の姫野くん。
「母さん、父さん、奏、おかえり」
「昂、今ママとパパそれどころじゃないの。話しかけないで」
母さんの低い声にこのみの肩が跳ねた
んっとに、どんだけ怒ってんだよ
「にいちゃ!!そのおねちゃ誰?」
目をキラキラさせた奏がこのみのスカートの裾を引っ張った
このみに触んな奏!!!!
と言いたいところだが、奏のおかげでできるだけ早く母さんの気を引くことができた。
「……母さん、父さん。これ、俺の彼女の川瀬このみ。喧嘩してるとことか見せないでくれる?びびってるからさ」
このみの肩を抱いて母さんにそう言う
「…このみちゃん…?」
「は、はい!川瀬このみです!こ、昂くんとお付きあいさせていただいています!!!!」
母さんはスタスタとこのみに近付いてきて
「…きゃっ」
「可愛いわねこのみちゃんっ!」
俺の腕からこのみを奪うとぎゅっと抱き寄せた。
さっき言った母さんが父さんと同じくらい大好きなもの、それは俺が好きな女。
…説明すると、俺と母さんは趣味がおんなじで、だからつまり俺が可愛いって思う女は母さんも可愛いって思う。
だから可愛い女が好きな母さんは俺が好きな女のことが大好きになる。