隣の席の姫野くん。





洗面所で顔を洗って思ったこと。




ほんと、このみって彼女としてどうこうよりも、人間としていい奴だなってことと



俺らってほんと邪魔はいるな、っていうか俺我慢させられすぎだよなってこと。





ほんと、やっとこのみとくっつけていい感じになれたのに…




「…だぁーっくそ」




こんなときに夫婦喧嘩なんかしてんなよな!!!!!





そう思っているとドカドカと響いた足音。




勢いよく開けられた扉





「…昂!!!!パパとママ仲直りしたからちょっと沖縄行ってくるね!!!!」




それだけ言うとどっかに行った母さんに俺は何も言えなかった




「…っとと!いい忘れるところだった!」





かと思えばバタバタと俺のところまで戻ってきて





「今日は二人っきりだから、いい夜をね?でも
、まだおばあちゃんにはなりたくないからね?」




それだけこっそりと伝えると



「いってきまーす!!!!」




嵐のように去っていった





…っとに、最後に爆弾落としていきやがって




俺は鏡に映る口元がゆるゆるな自分に言った




「俺は川瀬このみを泣かせる奴はゆるさねーからな?優しく、大切にしろよ。川瀬このみの隣はずっと俺でいられるように。」




そして指を弾いて水を飛ばす。




「よっし」






口元にぎゅっと力を入れた俺は、困った顔をしているであろう愛しい人の元へと向かった。






-Fin-







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