隣の席の姫野くん。
昂side
感覚がなくなってきた手をポケットに入れ、来た道を帰る俺。
実は俺と川瀬の家は真逆。
俺はこれから息が真っ白くなる夜道を、来たときの倍の時間をかけて帰る。
これが秀平んちの帰りとかなら、帰るのがめんどくさくて
ちょっと…いやかなりイラっとするけど
「不思議だよなぁ」
思わずこぼれ落ちた言葉。
そう、不思議なんだよ。
川瀬んちの帰りだって思うと全然違う。
まずイラつかないし、それ以前にめんどくさいとも思わない。
むしろ家につかなくていいってすら思える。
さっきまで俺の前を歩いてた川瀬。
それは俺にとっては好条件だった。
歩く川瀬をバレずに見つめられる。
川瀬のこと考える時の俺って気持ちわりぃなって思う。
なんつーか、女みたい。