隣の席の姫野くん。



だから、一人で帰るって言った川瀬を引き止めるのにはすっごい勇気が必要で


でも絶対一人で帰したくなかったから



俺は送らなくていいって言い張る川瀬の声を無視して歩いた。




それだけで、心臓が大変なことになってたっつーのに



「あっ」



なんて可愛い声を出して、空き缶に突っかかりやがって。




触れたらいろいろと余裕なくなるから嫌だったんだけど、川瀬の身体に傷がつくって考えるともっと余裕がなかったから



思わず抱き止めちまった。






そしたら予想通り心臓は暴れまくって、でも離れたくなくて、焦ってる川瀬に回した腕に少しだけ力を入れた。




このままずっと俺の腕のなかにいろよ。




フラフラすんじゃねぇよ



なんて笑えないくらい本当に思って、



でもこんなに好きでも川瀬の彼氏じゃないから、そんなことをいう権利がないって思うと



本気で笑えなかった。










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