隣の席の姫野くん。
「あ、うちここだから」
洋風なレンガの家の前で川瀬は立ち止まった。
「おう。気を付けてな」
ほんとはもう少し川瀬の側に居たかったけど、これ以上触れられないのがキツい俺は逃げ出した。
近くにいて、一瞬でも抱き締めたのにその後なにもできないとか拷問かって
俺だって男なんだからな?
きっと川瀬はそんなこと思ってないだろうな
俺は、川瀬が女過ぎて困ってるのに
そう考えると無性に川瀬を睨みたくなった
俺が川瀬を睨むのは、照れずに見つめられるから。
あとは歪んだ愛情表現、かな。
「さっみぃ」
もう4月だってのになんて寒さだよ。
息白いしな~
寒いなんて全く思わなくなる頃には、俺らの関係なんか変わってるといいな
そんなことを考えながら、俺は家へと歩いていった。