隣の席の姫野くん。




「今、姫野幸せ逃げたよっ!」



俺の肩をバシバシ叩きながらそう言う川瀬。



あ~。不意打ちだ。



しぐさだけで可愛さが止まるかと思ったら



なんて可愛いこと言うんだこの生物は。


しかもなにその笑顔




俺は馬鹿にされてるはずなのに頬が緩んだ。




「姫野なににやけてるの?幸せいらないわけ?」




川瀬は変なものを見るような顔をしていた。



まぁそうだよな。




こいつ的にはいつもの言い合いを期待したんだろうから。






「俺様の幸せは何万回ため息つこうがなくなんねぇよ」




…川瀬がいればね





なーんて、言えればいいのに。














< 58 / 300 >

この作品をシェア

pagetop