隣の席の姫野くん。
「うわ~何それ。暑くて頭おかしくなったの?」
川瀬は冷めた目で俺を見ながら、数学の教科書を出し始めた。
「あ?なにお前、勉強すんの?」
そう聞くと川瀬は俺を睨んだ。
「今日当たるの!」
川瀬このみが世界で一番嫌いなもの、それは数学
ちなみにこの間の小テストは5点だった。
一応100点満点ね?
「あー、もう!分かんない!」
イライラしながら問題を解く川瀬を、頬杖をつきながら見つめる俺。
ほんとに、なんで付き合ってねぇんだろ
「…っと」
またため息をつきそうになったのを寸前のところで抑える。
やっぱ幸せは大事にしねぇとな
さっき言ったこととの変わりように我ながら苦笑する
「ね、え…姫野?」
気付くと川瀬が目の前にいた。
いや、さっきからいたんだけど…
今はだいぶ俺に近づくように、前のめりに。