隣の席の姫野くん。



「どう、した?」


頭は川瀬の行動の原因が分からずに困惑しているが、体は正直だ。


心臓はあり得ねぇ早さで動いてるし、全身は緊張が走って固まってる。



そんな俺に構わず川瀬は俺のワイシャツの裾を掴んだ。



…なんだよこの展開!




ため息一回我慢しただけでこんなにいいことあるわけ?



そうならもう一生ため息つかねぇ!




「ひめ…っ、こ、うくん」



え?は?はい?


今、あの川瀬が俺のこと昂くんって呼びましたか?




ってか本当にこいつ川瀬なの?川瀬このみ?




「…こ、うくんにお願いがあって…」



眉を八の字にしてうつむく川瀬




せっかく、珍しく素直なのに顔見せろよ




そう思いながらも俺は川瀬の言葉を待った。



あいにく、ここで顔をあげさせる勇気は持ち合わせてなくてね





ドキドキして川瀬の言葉を待っていると…














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