隣の席の姫野くん。



「数学写させて!!!!!」



さっきとはうって変わって川瀬は勢いよく顔を上げた。



「…はぁ?」



おいおいおい。



さっきまで必死に解いてたろ。



あれはどうしたんだよ




「一問も解けなかったの…」




あー、なるほど。



川瀬が見せてきたノートを見て納得した。



一応問題を解いた形跡はあるものの、書き出しから既に間違っていた。




「授業始まるまであと3分しかないし…お願い!」



俺は、



しょうがねぇなぁ。



何て言いながら数学のノートを手渡した。



「ありがとぉぉぉぉ」




ものすごい早さで書き写す川瀬をじっと見ながら、俺は心の中でため息をついた。



好きな女に見つめられて、お願い聞かねぇ男とかいねぇだろ



あいつ、いつから計算高くなったわけ?



つーか、やっぱ変だったよな、さっき








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