隣の席の姫野くん。




「このこと誰かに言ったらどうなるかわかってるんでしょうね!誰にも言うんじゃないわよ!」




あまりの恥ずかしさにいたたまれなくなったらしい橋田は、そう吐き捨てて一人教室に戻っていった。




「…まじかぁ」


俺と橋田が話していたのは、たぶん5分程度。


その間に色々ありすぎて頭がついていかない。



「疲れた…」




俺は一人そう呟くと、嵐のように去っていった橋田が座っていた椅子に座った。



浅く腰かけて足を開く。



手はポケットにつっこんで



1年のいつ頃だったか、川瀬がこの格好を『姫野スタイル』だって言って、指を指して笑っていた気がする。



その頃からかな。




この格好をよく、するようになったのは。




俺の全ては本当に川瀬でできてるんだな



そんなことを考えてる自分が照れ臭くて、



俺は腕を組んでうつむいた。



誰が見てるわけでもないのに、顔を隠したくてしょうがなくて。



こんな赤くて、口元ゆるゆるな顔誰にも見せれねぇよ




そんなことを考えていると遠くで授業開始の鐘が聞こえたような気がした


















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