隣の席の姫野くん。
「……の、んちゃん?」
言葉が出なかった。
名前を呼ぶのが精一杯。
だって…
のんちゃんの顔が真っ赤だったの
その顔はいつもの倍以上かわいくって色っぽかった。
「ごめんね、このみ…」
のんちゃんは今にも消えそうな声でそう言った。
そして、山下くんを一瞬見てから、教室を出ていった。
どうしてのんちゃんは謝ったんだろう。
本当に、姫野と付き合ってるの?
私は二人と仲がいい気分でいたのに
本当のことも話せないような関係だったんだ
そう思うとのんちゃんを追いかけられなくて
授業開始の鐘がなったから機械的に座った。
隣はずっと空席のままだった