隣の席の姫野くん。
安心する声に顔をあげると…
「のんちゃん!」
そこに立っていたのは、私の心を読み取るエスパー少女、橋田望。
「一人でいつまでなにしてるの?」
のんちゃんは姫野の席に座った。
私はのんちゃんに向き合うように体を横に向けた。
そして、教室を見渡してみると私とのんちゃん以外は誰もいなかった。
私、どんだけ集中してたのよ。
姫野が隣にいないだけでかなり静かで、周りの声も聞こえないくらい集中してしまったらしい。
「このみ、何かあったの?」
のんちゃんは、細い足を組んで、腕を組んで。
のんちゃんスタイルで私に聞いてきた。
のんちゃんに何て説明したらいいんだろう。
もし、姫野の言ってたことが本当だったら?
もし、のんちゃんが姫野を好きだったら?
私、のんちゃんだけは傷付けたくない…