幸せならそれでいい
まっすぐ家に帰るつもりが
須田商店の前で同級生に会い
みんなであんまんを食べてたら暗くなってきた。
冬って嫌い。
田舎の冬はもっと嫌い。
そこから歩いて10分
私はやっと家に到着し
イヤホンを外し玄関に入ると
お客さん?
黒いヒールのあるブーツが揃えてあった。
この細いヒールで雪道を歩くか?
チャレンジャーだなぁ。
お母さんの友達?
とりま
顔だけ出して
すぐ部屋に行こう。
居間に入ると
綺麗なお姉さんがソファに座っている。
柔らかそうな艶のある茶色い髪は、緩やかに巻いてあり。
アイメイクが完璧。
彫の深い顔してるわ。
紺のニットワンピが似合ってる
ピアスは本物のダイヤかな?輝いてるし。
都会の匂いがするよ。
どっかの女子アナみたい。
「いらっしゃいませ」って挨拶して、とっとと自分の部屋に行こうとすると
「桔梗」って
そのお姉さんは私の名前を呼ぶ。
誰?
私はジッと綺麗なお姉さんの顔を見て
お姉さんも私の顔をジッと見る
すると
とっても言いずらそうに
お母さんは遠慮がちに私の顔を見て
「桔梗は……お姉さんが欲しいって……言ってたわよね」
そんな事を言う。
何だか
背中がぞわぞわしてきた。