【短】寮内ダーリン

“お見合いするのよ”

もう沢山だった。

普通に恋をして

普通に学校に行って

遊んだり

進学したり

そんな毎日を過ごしたいと

ずっと思っていた。


あたしの人生を

勝手に決めないで――



「彩ちゃん?」


「あ、ごめん」


「とにかくさ、ハルってイタズラするけど、悪い奴じゃないから」


「……う、ん」


「あ。手遅れ?」


「あは…」



ハルが例えどんなに辛くても、あたしにあんなことするのは許せないよ。

なのに、あたし分かってしまった。

ハルの気持ちが。


自由を求めたハルの気持ちが。

痛いくらいに。

< 65 / 109 >

この作品をシェア

pagetop