歪ノ櫻(イビツ ノ サクラ)
歪ノ櫻(イビツノサクラ)
「火事だー! 」
聞き覚えのある村人の声で私は目を覚ましました。
見えるのは暗闇ではなく、見慣れた私の家の中。
違うのは、家中を炎が囲み、昼のように明るく照らされていること。
村人は私の家を見て、叫び声を上げていたのです。
火事に巻き込まれないよう、私は家を出ようと立ち上がると背後、着物の裾を引く感覚が。
振り向くとそこには、家を焼く炎よりも激しい炎に包まれた幼い妹と弟の姿がありました。
裾を引いたのは妹の方。弟は炎の中、既に人の形から変わろうとしていました。
夢は、ずっとこの事を示していたのでしょうか。
二匹の鬼の姿と、哀れな妹弟の姿が重なり、私は声にならない悲鳴を上げました。
そして、反射的に口元を覆うように手をかざそうとして気が付いたのです。
私の手には竈の種火が。
どうして、家よりも妹弟の方が激しく燃えているのか。
全て、知ってしまいました。
聞き覚えのある村人の声で私は目を覚ましました。
見えるのは暗闇ではなく、見慣れた私の家の中。
違うのは、家中を炎が囲み、昼のように明るく照らされていること。
村人は私の家を見て、叫び声を上げていたのです。
火事に巻き込まれないよう、私は家を出ようと立ち上がると背後、着物の裾を引く感覚が。
振り向くとそこには、家を焼く炎よりも激しい炎に包まれた幼い妹と弟の姿がありました。
裾を引いたのは妹の方。弟は炎の中、既に人の形から変わろうとしていました。
夢は、ずっとこの事を示していたのでしょうか。
二匹の鬼の姿と、哀れな妹弟の姿が重なり、私は声にならない悲鳴を上げました。
そして、反射的に口元を覆うように手をかざそうとして気が付いたのです。
私の手には竈の種火が。
どうして、家よりも妹弟の方が激しく燃えているのか。
全て、知ってしまいました。