吐き出す愛


 視線をそっちに向けると、有川くんとその友人たちが大口を開けて笑っていた。
 何が面白くてそんなに盛り上がれるのか分からないけど、有川くんもグループの人達も爆笑している。

 有川くんが一緒に居るグループには同類の派手な雰囲気の女子も混ざっていた。その子たちと肩を組みながらへらへら笑っている有川くんの姿は、私には嫌味にしか捉えられない。

 嫌悪感をたっぷりと含んだ視線を彼たちに向けながら出した声は、思いの外どす黒くて低く響いた。


「派手で人目を引き付ける容姿とか、ああやって柄の悪い友達とつるんでうるさいぐらいの声で喋ってるところとか。……あと、女癖が悪いところとかも大嫌い」


 有川くんの女癖が悪いのはもはや有名というか、公認の事実にもなっているくらい酷い。

 有川くんの周りには似たようなメイクをしている女の子がいつも誰かしら張り付いていて、彼はたくさんの女子と遊んでいるらしい。

 特定の彼女なのか友達なのか、はたまたただの遊び相手なのか。いつもその違いが分からない。

 だけど、それでも彼の周りから女子の姿が消えたことはなかった。

 何も知らない女の子たちが単に寄っていくのか。それとも遊ばれていると分かりきっていて、割り切った上で近付いているのか。

 有川くんの周りに居る女の子たちがどんな思いでそこに居座っているのかは知らないけど、どちらであっても私には、女の子たちの気持ちは到底理解出来そうにない。

 有川くんの嫌いな部分をこうして挙げれば挙げるほど、自分との違いがはっきりと示される。


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