吐き出す愛
「智也、ああ見えて結構ナイーブなんだ。だから佳乃に拒否されて、じわじわとダメージ受けてるはずだよ」
「別に、そんなの慣れっこなんじゃないの? 女の子と揉めてるところ、何度か見かけたことあるし……」
色んな女の子と関わる分だけ、ややこしそうな問題を起こしているのはそれなりには知っている。
だから拒否されるなんてことは、私に限らず経験していそうだけど。
そういう解釈を含めた表情で優子を見ると、「分かってないなー」と呆れられてしまった。
「いつも平気そうにしてるけど、あれでも内心では傷付いてるし落ち込んでるよ。幼馴染みだからこそ、そういうの分かるもん」
「……ふーん、そうなの」
「だからさ、佳乃。あいつの本心も見てあげて。見えるものだけがその人の性格とは限らないし。根本的な部分を見たら、智也の印象も変わるかもよ?」
「根本的な部分、ねえ……」
優子の言葉はある意味正しい。
だって、見えている容姿と中身の性格が違う人は居るはずだから。
だから有川くんの根本的な部分は、私が知っている彼とはまた違うかもしれない。
それに中身は嫌いと思わずに、むしろ好きだと思えるものの可能性もある。
……私だって、出来ることならその可能性を信じたいよ。
だけどその信じた結果、外見も中身も一緒だとしたら怖い。
根本的な部分は良い人だって思っていたのに、実際は違っていた、なんて。
そうやって裏切られたら、もう何も信じられない。
だから、怖くて。
あまりにも自分とは異なったオーラを持つ人とは関われないんだ。
上手く返せる言葉が見つからなくて口ごもっていると、優子は押し付けるように先に口を開いてきた。