吐き出す愛
未だに説得というか説教してくる優子に曖昧な否定を繰り返していると、やっとのことで5時間目の授業の開始を告げるチャイムが鳴った。
ああ、助かった。
ほっと胸を撫で下ろす私と違って優子は不服そうだけど、渋々と自分の席へ戻っていった。
だけど安堵出来たのも束の間。一番の元凶が隣の席に戻ってくる。
私は有川くんと目が合わないように、机の上に準備した教科書とノートに視線を落としながら授業が始まるのを待った。
これでも声をかけてきたらどうしよう……。
そんなことを延々と考えていたけれど、対処策はなかなか思い付かない。
結局先生がやって来るまで対処策は浮かばなかったけど、そもそも被害に合うことすらなかった。
有川くんは授業中ずっと、机に伏せて眠っていた。
私への配慮なのか、単に眠たくて授業を聞きたくなかったのか。
それは、分からなかったけど。