吐き出す愛
安っぽい愛なら、要らない。
そう頑なに現実を追い求めた15歳。
でも、いつか深い愛に変わるかもしれない。
そんな理想を信じた20歳。
――二人の自分の間で、今日も彷徨っている。
愛なんて、何処から生まれるのだろう。
膨れ上がった愛は、最後は何処へ向かうのだろう。
誰にも言えない私の感情も愛と呼べるものなら、いっそ身体の中から吐き出してしまいたい。
知りたくなかった。彼に対して抱きたかったわけじゃない。
そんな感情なのだから、私の中に広がる前に吐き出すの。
そして地中深くに埋めて、誰にも知られないまま滅べばいい。
彼に知られてしまう前に、早く。
――吐き出す愛