吐き出す愛
だったら、もっともっと佳乃への想いが深まっていたらいい。
そして変わらず……いや、彼女の隣を永遠に歩き続ける誓いを立てられるようになっていたらもっといい。
そういう未来を、信じてる。
「どうなってるかなんて分からない。それなら、いいように変わってるって信じてた方が、未来を考えるのも楽しくなるんじゃね? 俺は、またいいように変わってるって信じてるよ」
確証はなくても、信じることで変わることもあると思う。
性格も見てきた世界も正反対な俺たちが、今こうやって隣に並び、同じ世界を共有出来ているように。
信じれば、あり得ないと思っていた未来だって生まれてくれるのだから。
「……うん。私も、信じるよ」
俺を見る瞳に希望の光を宿しながら、佳乃が朗らかに笑う。
「……ああ、いい未来になってるといいな」
その笑顔を、今日も明日もその先も見られるように守ろうと、俺は深く胸に刻みこんだ。
いつか未来の俺が、「あの頃に信じた未来になったぞ」って笑って言う日を信じながら。
【END】