吐き出す愛
脱色して白髪に近い髪をオールバックにしていて、3人の中ではボス格だと思われる人がにやりと嘲笑った。
「なになにー? 今度は智也、こういう大人しくて地味な子で遊ぼうっていう考えー?」
風格のある男の子は私を一瞥すると、わざとらしくそう言った。
彼の後ろからは2人の男の子が、じろじろと観察して馬鹿にした視線を浴びせてくる。それが無性に煩わしい。
この人達、ときどき有川くんとつるんでいるのを見かけたことあるっけ……。
そして同じクラスじゃないから、必然的に隣のクラスであることは間違いない。この学校は2つしかクラスがなくて小規模だから。
そんな小規模な学校で、有川くんは人目につく存在だ。
有川くん自身が結構目立つ容姿だから、彼の周りのグループは大体が派手な出で立ちの人ばかり。
恐らくこの3人は、その中でも特に柄が悪いタイプ。
有川くんとはまた、違った意味での派手さがあるから。
「別に、ちげーよ。そんなんじゃねえ」
ずいっと私の前に出て、有川くんはそう答える。
まるで守るように有川くんの後ろに隠された気もするけれど、きっとそんなわけない。
斜め後ろから見る有川くんの表情は、少し苛立っている声とは裏腹に無表情だった。
それが逆に、何かものすごいオーラを感じさせる。
オールバックの男の子より有川くんの方が少しだけ背は低いけど、威圧感は圧倒的に有川くんの方が大きかった。
だけど男の子も、その程度ではたじろがない。むしろ有川くんのそんな反応を楽しんでいるみたいだった。
不気味に開いた口元から黄ばんだ歯が顔を覗かせる。