鬼の子と男子生徒
「朱鬼・・・・また、変な夢でも見たのか?」
ピクッ
朱鬼が反応した。
「・・・・そっか」
俺は朱鬼の頭を撫でる。
「・・・・夕輝ぃ~」
朱鬼の手が背中に回る。
「どうしたんだよ?」
「・・・・闇鬼(アンキ)が・・・・闇鬼が・・・・来る・・・・僕を迎えに来ちゃう・・・・」
闇鬼?
「朱鬼、闇鬼って?」
朱鬼が震えている。
「・・・・闇鬼は・・・・鬼の中で、一番優しかった。とっても・・・・でも、悪戯好きの幽霊が取り憑いて・・・・人間に意地悪するようになって・・・・人間は僕らを怯えて、僕らを虐めるようになった。その頃には闇鬼はもういなくなったんだ」
朱鬼は目を伏せた。