「涙流れる時に」
PM 6:00 銀座の個室レストラン。
るみ子と紗江は先に到着した。
「紗江ちゃん~。」紗江と飲み仲間の浩二が駆け寄ってきた。「おまたせ」
野田浩二。同じ会社で営業担当の25歳独身。夜な夜なコンパや飲み会の幹事をこなす、ある意味器用な男。
「紗江ちゃん今夜はありがとう。受付の子が2人も来てくれるなんて華があるよな~。
しかも、沢田さん。男性社員がみんな狙ってるんだぜ・・・」
るみ子は入社してから確かに人気があった。
食堂でランチをしていても、不思議と声はかかる。ところが、数々の飲み会やコンパ系をことごとく断ってきたるみ子。
まだ入社してから1年未満という「新人の域」を感じていたから。
変な噂はご法度だし、再起をかけたるみ子は、いつも以上に慎重になっていた。
「沢田さん。そんなに緊張しなくてもいいからね。」
浩二は持前の明るさで、趣味の話やペットの話をした。浩二は女子が好きなネタを巧みに使って和ませるのが得意だった。
そして何より、るみ子と浩二は同じ20代とあって、それもるみ子にとっては妙にリラックスできた。
「浩二く~ん・・・。」 「早いけど・・・前勝戦ってことで。」紗江の粋な掛け声に合わせて
「え?何々?それ・・・」浩二はまったく事情は掴めないまま
「乾杯。」
るみ子たちは、ほんの少しだけ早く、仕事帰りのお酒を楽しんだ。
まだ、店内はお客もまだらで、でも個室だから気兼ねなく、るみ子はなんだかお酒がすすんでしまう。
「るみ。もうすぐ来るね。」紗江からだった。
紗江には何でも話してる、るみ子の良き理解者で頼れる女。
「ドキドキするね。」
「私がドキドキするよ。あんた見てると。」
毎日るみ子は紗江に牧村の話をしていた。
そして、若き日の恋する乙女のように目を輝かせ、好きな人に会えることを夢見てきた・・・。
「ありがとね。紗江ちゃん。」きちんと段取りしてくれてる紗江に、るみ子は胸がいっぱいで・・・
「やだぁ・・・これからなのに。」紗江は、るみ子が目頭熱くそんなこと言ってるのが妙に嬉しくて
涙が出やしないか・・・るみ子を見つめながら、自分も、また、こみ上げる感情を抑えていた。
るみ子と紗江は先に到着した。
「紗江ちゃん~。」紗江と飲み仲間の浩二が駆け寄ってきた。「おまたせ」
野田浩二。同じ会社で営業担当の25歳独身。夜な夜なコンパや飲み会の幹事をこなす、ある意味器用な男。
「紗江ちゃん今夜はありがとう。受付の子が2人も来てくれるなんて華があるよな~。
しかも、沢田さん。男性社員がみんな狙ってるんだぜ・・・」
るみ子は入社してから確かに人気があった。
食堂でランチをしていても、不思議と声はかかる。ところが、数々の飲み会やコンパ系をことごとく断ってきたるみ子。
まだ入社してから1年未満という「新人の域」を感じていたから。
変な噂はご法度だし、再起をかけたるみ子は、いつも以上に慎重になっていた。
「沢田さん。そんなに緊張しなくてもいいからね。」
浩二は持前の明るさで、趣味の話やペットの話をした。浩二は女子が好きなネタを巧みに使って和ませるのが得意だった。
そして何より、るみ子と浩二は同じ20代とあって、それもるみ子にとっては妙にリラックスできた。
「浩二く~ん・・・。」 「早いけど・・・前勝戦ってことで。」紗江の粋な掛け声に合わせて
「え?何々?それ・・・」浩二はまったく事情は掴めないまま
「乾杯。」
るみ子たちは、ほんの少しだけ早く、仕事帰りのお酒を楽しんだ。
まだ、店内はお客もまだらで、でも個室だから気兼ねなく、るみ子はなんだかお酒がすすんでしまう。
「るみ。もうすぐ来るね。」紗江からだった。
紗江には何でも話してる、るみ子の良き理解者で頼れる女。
「ドキドキするね。」
「私がドキドキするよ。あんた見てると。」
毎日るみ子は紗江に牧村の話をしていた。
そして、若き日の恋する乙女のように目を輝かせ、好きな人に会えることを夢見てきた・・・。
「ありがとね。紗江ちゃん。」きちんと段取りしてくれてる紗江に、るみ子は胸がいっぱいで・・・
「やだぁ・・・これからなのに。」紗江は、るみ子が目頭熱くそんなこと言ってるのが妙に嬉しくて
涙が出やしないか・・・るみ子を見つめながら、自分も、また、こみ上げる感情を抑えていた。