「涙流れる時に」
2 不倫
「君が噂の・・・」切り出したのは、牧村だった。

「履歴書見たよ。そして、面接の模様もね。」

「そうなんだ~」嬉しさが隠せないるみ子。

でも牧村はそれだけで、るみ子を採用まで導いたのか?

るみ子は内心、不思議でしょうがなかったけど。

「1度お会いしたかったんです。」

「僕も」

「え?」

即答する牧村にるみ子は驚いた。

「なんでだろう・・・」

牧村をまともに見れない・・・。

「ごめん。そうそう、同じ大学出身だよね。専攻も。」

るみ子と牧村は同じ大学出身で、専攻も一緒だった。

履歴書をしっかり見てくれてたんだ、この人・・・。

「そうなんですね・・・」

だからこんなにも初めから「近い?」・・・

大学の話に懐かしさと牧村への親近感。

「そうそう、大学の中庭にあるあの木、知ってる?」

「あぁ・・・願いごとが叶うって、有名な。」

「俺も、あの頃、何度も願掛けしたんだ。」

「あぁ・・・わかります。私も・・・」

そんな他愛もない話が嬉しかった、るみ子は、ますます親近感が湧いていったのか楽しくってしょうがない。

「なんかいい感じ・・・」

「憧れ」から実際に話す牧村は本当に穏やかで落ち着いている。

「また話したいなぁ」・・・

その日は浩二も紗江も一緒だったから・・・るみ子は終始「いい子」を演じていた。

翌日から

「逢えないかな・・・もう一回。」るみ子は牧村がますます気になっててしょうがない。

「憧れ」から「好き」へのステップかな。これって。
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