さみしがりやのホットミルク

「……ずっと、守りたいと思ってたんだ」

「みっつめの約束は──……佳柄ちゃんを、あなたのお嫁さんにすること」

「………………は?」



たっぷり5秒ほどの沈黙の後、俺は思わず、そんな間抜けな声をもらした。

いや、声だけじゃなくて、表情もかなり間の抜けたものになっていただろうけど。

だって、……いやいやいやいや、空耳だよな? なんか今、母さんの口から『佳柄ちゃんをお嫁さんに』とか、聞こえたような……。



「姐さん、坊っちゃんが固まってますよ」

「あらあらまあまあ、甲斐性のない子ねぇ」

「いやあの、おかしいだろ!? なんでいきなり、……えっ、お嫁さん?!」

「混乱してますねぇ」

「してるわねぇ」



テンパってあちこち視線を巡らせている俺をしり目に、母さんと伊月はのんびりとそんなことを言っている。

すると今度はそこにまた、ありえない人物の声が乱入してきた。
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