さみしがりやのホットミルク
小さく、深呼吸をして。

まっすぐに、彼女を見つめる。



「……ごめん、佳柄。あんなふうに、逃げて」

「……ッ、」



ふるふると首を横に振りながら、きゅっと、服のすそを握られた。

その小さな手を左手で包んで、俺は、言葉を続ける。



「……ぜんぶ、さっき佳柄が言った通りだった。俺はこの場所が好きで、守りたくて。なのに自信がなくて、こわかったから……目を、背けたんだ」



──……だけど。



「けど、佳柄の言葉で、思い出した。ここには、義務感とかそんなんじゃなく……俺を助けてくれる人も、たくさんいること」

「………」

「佳柄のおかげで、俺はこの場所を、なくさないで済んだ。……ありがとう」



言いながら微笑むと、佳柄は下唇を噛んで、こくこくうなずいた。

その手を握る手にまた、力を込める。
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