さみしがりやのホットミルク
「佳柄、電車使ってひとりで出掛けてきたんだろ? 伊月でも誰でも使って、車出させればよかったのに」

「うーん。だってオミくんに、1番に知らせたかったし」

「へ?」



にこにこ、いつにも増して機嫌良さそうな彼女の意味不明な言葉に、俺は思わず首をかしげる。

佳柄はきゅっと俺の両手を握って、「あのね、」とまた口を開いた。



「あたしね、病院に行って来たの」

「えっ、病院?! どっか悪いのか?!」

「んー、悪いっていうか……」



思いがけない彼女のせりふに慌てるけど、対する佳柄は相変わらずののんびりした口調で、視線を泳がす。

それからまた一際強く、俺の手を握りしめた。



「あのね、オミくん。……2ヶ月、だって」

「……え?」

「だからね、オミくん……赤ちゃん、できたみたい」



照れくさそうな佳柄のその表情を見ながら、一瞬、頭の中も動きもフリーズして。

だけど次の瞬間、信じられないくらい、からだが震えてきた。
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