さみしがりやのホットミルク
「……オミくん、ドライヤー使ったよね?」

「あ? ああ」

「でもまだ、濡れてるよ」



言われて自分の髪をさわってみると、たしかにまだ、湿っている。

けどまあ、そのうち乾くだろうし。つーかドライヤーなんて面倒くさいから、だいたいいつもこんな感じで終わらせてるし。



「別に、そのうち乾く……」

「こらぁ、だめだよっ! 髪はちゃんと乾かさないとー」



投げやりな俺の言葉をさえぎって佳柄はそう言ったかと思うと、カチッとドライヤーのスイッチを入れた。

そしてなぜか、そのドライヤーの風を俺の頭にあて始める。



「ちょ、」

「あーこら、動かないでー」



彼女はそう言いながら背中にまわると、本格的に俺の髪を乾かし始めた。

小さな指先が、自分の髪に触れている感覚がする。

その何とも言えない感覚と気恥ずかしさに、初めこそ抵抗を見せていた俺だけど……意外と頑固な彼女にまるめこまれ、結局はしぶしぶ身を任せることにした。



「ふふっ、この感じなつかしいなあ。弟にもよく、こうやって髪乾かしてあげてたんだよねー」

「……そーかい」



なんだかご機嫌な様子の、彼女の声。俺はあぐらをかきつつ、もうどうにでもしてくれという投げやりな気持ちで言葉を返す。

……なんなんだこいつは。1歳しか違わないくせに、思っきし子ども扱いしてくれるな。
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