さみしがりやのホットミルク
学校から佳柄のアパートに戻ってくると、すでに彼女は、出掛ける準備を済ませていた。

太ももあたりまで隠れる長さの、花柄の薄い生地のひらひらした服にネイビーのジーンズ。

茶色の髪を耳の下でひとくくりにして、顔には薄く化粧をしている。

……別に、化粧しなくてもそのままでいいと思うけど。そう一瞬考えはしたけれど、口には出さなかった。



「オミくん、すぐ家出てもおっけー?」

「あー、大丈夫」

「よしっ。じゃあ、行こっかあ」



どうせ今は制服しか持っていないから、着替えることもせず彼女とアパートを出る。

買い物へは、電車で2駅行った先にあるショッピングモールへと行くことになった。

どうやら佳柄の通っている大学の近くらしく、彼女は日頃よくそこへ足を運んでいるとのこと。



「あ。そーだオミくん、今夜は何食べたい?」

「え?」



電車を降りて目的のショッピングモールへと歩いているところで、ふと彼女が思い出したように訊ねてきた。

俺は一瞬その意味をはかりかねて、思わず間抜けな声をもらす。
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