さみしがりやのホットミルク
「ほら、お昼ごはんは、ショッピングモールで食べるでしょー? だけど晩ごはんはお家帰ってからになるだろうから、ついでに食材も買っちゃおうと思って」



だから、何食べたい?

そう言って小さく首をかしげながらこちらを見上げてくる彼女に、俺はすぐ、言葉を返すことができなかった。


だって──……だって。

俺は彼女の家に、昨日一晩だけ、泊めてもらうつもりで。

きっと彼女も、そのつもりだろうと思っていて。



「あ、お風呂の後は、冷たいもの食べたいよねえ。帰りにアイスも買っちゃおっか!」



だから今、とても楽しげに笑う佳柄が、今夜も俺をアパートに上げる前提で、話をしていることに。

気付いた瞬間、驚いて。……それからどうしようもなく、それをうれしいと、思ってしまったのだ。
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