さみしがりやのホットミルク
思わず緩んでしまいそうになる口元に、俺は右手をあてる。

今自分が、どんな締まりのない表情をしているのかはわからないけど……こんな顔、誰にも見せられない。

ひとつ咳払いをしてから、俺は口を開いた。



「……じゃあ……ハンバーグ。ソースで煮込むやつじゃなくて、焼いた上に、ソースがかかってるの」

「ハンバーグ? ……りょーかい!」



しぱしぱと瞬きをした後、佳柄はまたにこっと笑って、ガッツポーズを作ってみせた。

その顔を見たら、なんだかこちらにも、笑顔が伝染して。締めていたはずの口元が、自然と、また緩んでしまう。

それを目敏く見つけたらしい彼女が、俺から視線を外さないまま、イタズラっぽく自分の頬に人差し指をあてた。



「やった。オミくん、笑った」

「……、」

「ふふふっ。オミくんが笑うと、あたしもうれしいなあ」



そう言った彼女の手がこちらに伸びてきて、思わず身構えた。

小さな手は俺の髪に触れて、それからやさしく、頭を撫でる。
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