さみしがりやのホットミルク

「……ほんとあんた、ばかだなあ」

ショッピングモールに着いた俺たちは、まず俺の服を買い揃えることになった。

と言っても俺は、着心地が良ければブランドなど気にするタイプでもない。そのため安くて手近なファストファッションの店に入るとシンプルで着まわせそうな服を適当に選び、ぽいぽいカゴの中へ放り投げていく。

ものの15分で買い物を終えた俺に、佳柄は目をまるくした。



「えっオミくん、もういいの?」

「ん」

「ふわ~、早いんだねえ」



自らも服を見ていた彼女は、大きな袋を持った俺のそばまでトコトコ駆け寄ってくる。

そうして並んで歩きだすと、すぐに佳柄があっと視線の先を指さした。



「ねぇオミくん、あたしあのお店行きたいなあ」

「あー、うん」



わざわざ俺に確認しなくても、勝手に寄ればいいのに。

そうは思うものの、彼女のきらきらした瞳でうかがうように見上げられるのは、正直悪い気はしない。

なんか俺、完全に佳柄に毒されてるな……と遠い目をしつつ、彼女の指さした服屋へと足を向けていると。
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