さみしがりやのホットミルク
「だから──そろそろ、潮時だと思ってるよ」

「………」



言いながら、小さく笑ってみせると、光は自分からけしかけた話題なのに、なんとも微妙な表情をしていた。

トン、と俺の肩を、強くはない力で後ろからこぶしで叩く。



「……晴臣。なんかあったら、いつでも言えよ。つーかいっそ、ウチに来りゃいいじゃん」

「さんきゅ。つってもな、おまえんとこに世話になるのも……もしそれでゴタゴタ起きたら、一大事だろ」

「大丈夫だろ。ウチの家族は、おまえのこと気に入ってるし。そんなんで揉めるほど、お互い暇じゃねぇって」

「……そーかね」



つぶやいて、ふう、と小さく、ため息をつく。

廊下にある窓の外を見てみると、佳柄と出会ったあの日のように、空は青く晴れ渡っていて。



《──オミくん!》



ふと頭に浮かんだ、彼女の笑顔に。

きしりと、胸が痛んだ。
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