さみしがりやのホットミルク

「ほっとけなくて、かわいーの」

「………佳柄って、彼氏できたの?」

「へ?」



向かいの席から飛んできた突拍子のないその質問に、ピザを口に運ぼうとしていた手を止めて、あたしは思わず間抜けな声をもらした。

ちなみに今は、高校時代からの付き合いである、ふたりのお友達とランチ中だ。おいしいけれど値段は安いイタリアンのお店で、ドリンクバーとちっちゃいピザとサラダとパスタがついてなんとランチタイムは1000円。お得でしょ!


……とまあ、そんなことは置いといて。

あたしは手をおしぼりで拭きつつ、きょとんと、首をかしげた。



「なぁにさよちぃ、急にどしたの?」

「どしたのって……ねぇ?」



冒頭の質問をしてきた、さよちぃこと新井田 沙頼(にいだ さより)ちゃんが、自分の左隣りに同意を求めるような眼差しを向ける。

その視線を受け、パスタをくるくる巻いていたはすみんこと蓮見 まお(はすみ まお)ちゃんは、「うーん、」となんだか困ったような笑みを浮かべた。



「ええっと。……佳柄の“それ”って、あの、彼氏さんにつけられたのかなあ、とか」

「……“それ”って?」



はすみんの言う意味がわからず、やっぱり首をかしげるあたしに、目の前のふたりが顔を合わせる。
< 66 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop