さみしがりやのホットミルク
……オミくんがあたしにつけた、なんて。

そんなこと、絶対にないよね?



「や、ええっと……」

「なになに、誰?」

「やっぱり、彼氏できたの?」



ふたり分の期待のこもった眼差しに、あたしは目を泳がせる。


ど、どうしよう……さよちぃとはすみんに『実は今高校生の男の子と一緒に住んでるんだよてへ☆』なんて素直に言ったら……きっと怒られて、すぐにやめなさい!って説得されるだろうし。

ていうか、オミくんがつけたなんて確証もないわけだし。今朝だって、普通通りだった気がするし……。

えーっと、えーっと……。


………そうだ!



「あ、あのねあたしっ、最近ねこを拾ったの!」

「ええ? ねこぉ?」



驚いたような表情で思いっきり気の抜けた声を出すふたりに、こくこくとうなずく。



「えっと、こないだの土曜日に、うちの近くで迷子のねこを拾って……今、一緒に住んでるの」

「……でも佳柄のアパートって、ペット禁止じゃなかったっけ?」

「え、えっと……」



きょとんとした顔でもっともな質問をするはすみんに、内心冷や汗をかきながら必死で適当な言葉を探した。
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