さみしがりやのホットミルク
「あの、ね。そのねこちゃん、他のねことケンカしたみたいで、傷だらけで……だから手当てもしたくて、家に連れて帰ったの」

「……へえ~」



なんとか納得してもらえたらしく、ふたりとも、感心したような表情をしている。

でもまあ、ねこにキスマークは無理だよね、なんて、笑ってて。

よ、よかった、なんとか切り抜けられそうで……。


人知れず安心している、と。

動物好きなさよちぃがにこにこ顔で、たぶん今度は別の意味で、話に食いついてきた。



「ねぇ、そのねこ、どんな子? 野良なの? 種類は?」

「え……ええっと、」



う……さよちぃ家も、ねこちゃん2匹くらいいるんだっけ。

予想外のその問いに、あたしはオミくんのことを思い浮かべつつ、なんとか言葉をつなぐ。



「野良では、なくて。たぶん、どこかのお家で飼われてたんだと思う」

「そっかあ」

「種類は……ええっと、よくわかんないんだけど……く、黒くて、綺麗な顔してて、」



脳みそフル回転で、当たらずとも遠からずな、曖昧な言葉を返して。

だけど自分で話しながら、思わず、笑みが浮かぶ。



「──最初は、警戒して、あんまりなついてくれなかったんだけど……時間が経ったら慣れてくれたのか、いろんな顔見せてくれるようになって……ほっとけなくて、かわいーの」

「……へえ」

「そうなんだあ」



ふにゃりと顔を緩ませるあたしに、ふたりもつられて破顔した。

けれどもそこでさよちぃが、「でも、」とテーブルに頬杖をつく。
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