さみしがりやのホットミルク
「佳柄はいつまで、そのねこ家に置いとくつもりなの?」

「……え?」



一瞬、言われている意味がわからなくて、思わず聞き返した。

さよちぃはちょっとだけ言いにくそうにしながら、それでも言葉を続ける。



「佳柄は、そのねこがケガをしててかわいそうだったから、家に連れて帰ったんでしょ?」

「……う、ん……」

「でもさ、アパートはペット禁止なんだから、いつまでも誤魔化して置いとくこともできないと思うの。飼い主が他にいるなら、なおさら」

「………」

「さみしいかも、しれないけどさ。早いうちに、離れること、ちゃんと考えた方いいよ。そのねこのためにもさ」



……離れる。オミくんと、離れる。

離れなきゃ、いけない。それが、オミくんのためだから。



「……たしかに。ほんとに飼いねこだったら、そのねこちゃんのこと探してる人が、いるってことだもんね」



なんだか申し訳なさそうに眉を下げて言うはすみんの顔を、見ることもできずに。

あたしは呆然と、テーブルの上の冷めかけたパスタを見ていた。
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