さみしがりやのホットミルク
「そういえば、まだ自己紹介してなかったね! あたしの名前、坂下 佳柄(さかした かえ)。大学1年生だよー」



にこにこ発せられた今さらなその言葉の後、君は?と、視線で促される。

少し迷った後、俺は小さく、くちびるを動かした。



「……晴臣」

「ハルオミくん? じゃあ、オミくんだね!」

「………」



予想外ないきなりのあだ名に、少し面食らう。

つーか、そこなのか。あだ名に使うのは。

『ハル』の部分を呼び名に使う奴は、今までもいたけど。



「オミくんは、高校生なんだよね?」

「……3年」

「うふふ、じゃああたしがお姉さんだねぇ」



なんだかうれしそうにそう言いながら、その女──佳柄は、ぺたりと俺の右腕に絆創膏を貼った。

……ヘンなやつ。

なんだかんだで流されて、今この場にいる自分も、一般的に見たら相当ヘンなのかもしれないけれど。
< 8 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop