さみしがりやのホットミルク
──そして。唐突に、ひらめいた。


……ああ、そうか。

そっか、そうだったんだな。


彼女の寝顔に、見覚えがあったのは。

今このときも、既視感を、覚えているのは。


記憶の奥深くに残る、大きなうさぎのぬいぐるみを抱いた、小さな女の子。

あのときひとりさみしそうに泣いていたその少女と、目の前の佳柄の泣き顔が、重なる。



「……佳柄、」



俺の呼び掛けに、彼女が少しだけ首をかしげながら、目線で応えた。

その、涙のあとが残る頬に触れて。イタズラっぽく、笑ってみせる。



「……『うさたろう』は、元気?」

「──ッ、」



俺のその問いかけに、一瞬、驚いたように目を見開いた。

だけどすぐに彼女は、瞳いっぱいに涙をためたまま、泣き笑いの表情になる。
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