さみしがりやのホットミルク
「……オミくん。……覚えてて、くれたんだね」



……ああ、なんてことだろう。

10年以上も経って、こんなふうにまた、再会するなんて。



『ありがとう、おにいちゃん』



──あの日、あのとき。

たしかにあの女の子は、俺が強くなりたいと願う、理由になった。

その少女が、いま、俺の目の前にいる。



「オミくん、ちっとも変わってない。気が強そうな目も、ちょっと荒っぽいのに、やさしい話し方も」

「……そーかよ」

「うん。あとね、左の首のとこに、2個縦に並んでホクロがあるの。顔の影になってるところだから、あんまり気付いてる人、いないと思うんだあ」



言いながら、いつの間にか涙が止まっていた彼女は、ふにゃりと破顔してみせて。

きゅっと、胸の奥が締めつけられる。


──ああ、なんて、いとしいんだろう。

俺のために泣いて、俺に向かって笑いかけてくれる。

きみのためなら、なんだって、できる気がする。

こんなに、いとしいものを。俺は他に、知らない。
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