小悪魔恋愛

偽の笑顔 ー翔sideー

女なんか、何人も居た。
都合のいい女なら、いくらでもー…。


「ねねっ!
今日は家行っていい?」


「うん、いいけど?」


香水のきつい女が、俺の腕に抱きついた。
俺の周りに居るのは、こんな女ばかりだ。

欲しい女なんか、居た事はなかった。
特定の女の事を考えるなんて、ありえなかった。

でも俺は今、ある女の事だけを考えてしまっている。


『美紗、おっはよー!』


可愛い笑顔を見せて入って来る愛内を見ていると、無意識に頬が緩む。

あいつの笑顔は、本当の笑顔じゃない。
そう、いつも思うんだけど…。
その笑顔に、ドキドキする俺が居る。


「この気持ち、何だよ…」

愛内から目を逸らし、そう呟いた。
あいつを見ていると、何だかムカつく。

あいつの笑顔は、昔の俺の笑顔に似ている。
表面には出していないけど、内心では…。

孤独だと、感じてるんだと思うんだ。
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