小悪魔恋愛
その後あたし達は入学式へ。

退屈な時間はなかなか過ぎなくて。
ずっと美紗と話していた。


「あっ、次だけはちゃんと見なきゃねっ」


『え?
次、ってー…?』


「萌知らないの?!
生徒会の広畑会長の挨拶だよっ」


広畑…?
聞いた事の無い名前に首を傾げつつ、壇上に人が出て来るのを待った。

すると、一人の長身の男が…。
周りの女子は、その彼を見て騒いだ。


「かっこい…」


隣の美紗が、ボソリと呟いた。
確かに…。

サラサラの茶色の髪の下から覗く、切れ長の瞳。
黒ぶちの眼鏡は、彼にピッタリで。

着くずさずにカッチリと着ている学ラン。
違和感がないのは、きっとスタイルがいいから。

武井翔とは、正反対だ。


『かっこいいー…』


いつの間にか、自分も見惚れていた。

好きって、言わせたい…。
なんて、小悪魔な事を考えながら。
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