鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
静佳さんが嗚咽を漏らしながら言葉を紡ぎ出す。冴子さんは差別された側の人間。でも静佳さんは差別をした側の人間。


だからこそ、大好きな人を自分側が受け入れてくれない理不尽さをずっと噛み締めていたんだ。もうこれ以上聞くことすら申し訳ない。



結婚式場を一人でキャンセルしに行くなんて辛すぎる。いっぱい、いっぱいここでやりたいことがあったはずなのにそれが全部崩されたんだ。


結婚式なんて一番の幸せの時間なのに。あたしが思ってる以上にこの人はずっと苦しんでたんだ。



「静佳さん、もう、もういいです」



彼女の手をぎゅっと握り締めたあたしの瞳からも溢れんばかりの涙が零れる。好きな人とただ結婚しようとしただけなのに、どうしてそんな風に反対されなきゃいけないの?


何も悪いことはしてない。悠貴さんだって好きで片親になったわけじゃない。お父さんだって生きたかったに決まってる。悠貴さんと冴子さんともっと一緒にいたかったに決まってる。



どうにもできないことで反対する権利なんてないのに。




「美晴さん。聞いてください。私、ちゃんとこうやって話すの初めてなんです。これできっと前に進めるはずだから」




「静佳さん・・・」
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