鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
「・・・結納の日まで私は悠貴に何一つ伝えられなかった。本家に反対されている、それがあなたの生い立ちだからなんて口が裂けても言えなかった。あんなに幸せだったのに、悠貴の隣でずっと笑っていられると思ってたのに。美晴さんが言うように私が彼に選択肢を与えなかったのは結婚を彼の口からやめてもらいたかったからなんです」
「どうして、ですか?」
「もちろん、悠貴のことが好きだから別れたくなんてなかった。本家が反対するのなら家を出ることも考えました。だけど出来なかった。そんなことをしたらいつか私は悠貴を恨むに決まってる。私ね、怖かったけど父が大好きなんです。だから家を出て結婚したとしてもきっと子どもを父に会わせてあげたいって思う。
悠貴がお母さんを大切に思うように私も父が大切なんです。父も母も『あなたの幸せが一番だからあなたが選びなさい』そう言ってくれました。だから悠貴がお母さんを選ぶことをわかっていたから私も父を選んだんです」
ちゃんとまっすぐに前を見て、ううん、あたしと目を合わせて彼女は自分の気持ちを伝えてくれた。だから後悔はしていない。瞳からはその意思が伝わってくる。
課長が冴子さんを大事に思うように静佳さんはお父さんを大事に思っていた。だからこそ、二人は『好き』よりも『大事』を優先した。
「どうして、ですか?」
「もちろん、悠貴のことが好きだから別れたくなんてなかった。本家が反対するのなら家を出ることも考えました。だけど出来なかった。そんなことをしたらいつか私は悠貴を恨むに決まってる。私ね、怖かったけど父が大好きなんです。だから家を出て結婚したとしてもきっと子どもを父に会わせてあげたいって思う。
悠貴がお母さんを大切に思うように私も父が大切なんです。父も母も『あなたの幸せが一番だからあなたが選びなさい』そう言ってくれました。だから悠貴がお母さんを選ぶことをわかっていたから私も父を選んだんです」
ちゃんとまっすぐに前を見て、ううん、あたしと目を合わせて彼女は自分の気持ちを伝えてくれた。だから後悔はしていない。瞳からはその意思が伝わってくる。
課長が冴子さんを大事に思うように静佳さんはお父さんを大事に思っていた。だからこそ、二人は『好き』よりも『大事』を優先した。